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共同研究へ至った経緯
について

札幌市円山動物園は、ホッキョクグマの飼育展示を通じて、気候変動に関する普及啓発を強化するために、カナダの研究者や関係者との連携を開始しました。今後、ホッキョクグマの生息地である(ハドソン湾を有する)カナダ マニトバ州の関連機関との調査や活動を強化するため、円山動物園、EnVision環境保全事務所、Conservation Dimensions Inc.は、互いに協力しながら気候変動対策につながる共同研究に取り組んでまいります。この講演会では、マニトバ州のみならず北米の第一線で活躍する研究者から提供していただいたホッキョクグマに関する最前線の情報を公開します。今後は、来園者の皆様に、このような科学的なデータを、幅広く還元できるような取組や活動を進めてまいります。

円山動物園が覚書を
結んだ経緯について

ホッキョクグマの生息地である北極圏の環境は、気候変動の影響を受け大きく変化しています。また、日本国内でのホッキョクグマの飼育頭数は年々減少傾向にあり、飼育下個体群の近親化も進んでいます。一方、ホッキョクグマの保全を進めるためには、生息地の情報を知るとともに、生息域内保全につながる取組も求められており、海外との連携が不可欠です。
こうしたことから、2018年以降、野生のホッキョクグマの生息地であるカナダ・マニトバ州との連携に向け、マニトバ州政府や大学、動物園の訪問や、日本でのカナダ専門家によるシンポジウム開催など、情報収集や協議を行ってきたところです。
このような経緯を経て、円山動物園とアシニボインパーク動物園の両園は、気候変動対策に連携して取り組んでいくことに合意し、覚書を締結することとなりました。 

札幌市の気候変動への
取り組みについて

札幌市では2020年2月、札幌市内から排出される温室効果ガスを2050年には実質ゼロにする「ゼロカーボンシティ」を目指すことを宣言しています。
また、2021年3月には、「ゼロカーボンシティ」の実現を見据え、2030年までに取り組む対策をまとめた「札幌市気候変動対策行動計画」を策定しました。
計画は、市民・事業者・市役所が協働で取り組む、市域全体を対象とした“市民・事業者編”と市役所が事業者の立場で取り組む“市役所編”で構成しており、2030年の温室効果ガス削減目標として、それぞれ2016年比55%削減、2016年比60%削減を掲げています。
札幌市ではこの高い目標達成に向け、徹底した省エネルギー対策や再生可能エネルギーの導入拡大などの取組を加速させていきます。

アシニボインパーク動物園

アシニボインパーク動物園内の「チャーチルへの旅」は、世界でも最も包括的な動物展示です。広大な飼育施設は、ホッキョクグマの本来の生息地に似せるため、現地の荒々しい環境を復元しています。例えば、プール・隠れ場所・巣穴などを創設して、ホッキョクグマの運動・探索行動・個体間の社会性化に必要とする十分な空間を確保しています。アシニボインパーク動物園には、展示施設「チャーチルへの旅」にホッキョクグマを移動する前の順化施設があります。それは、教育、研究組織のレザーデール国際ホッキョクグマ保護センターも設置されています。 

アシニボインパーク動物園には、保全・研究プログラムがあり、その目的は飼育の上質化および野生動物の保全活動の支援です。レザーデール国際ホッキョクグマ保護センターの研究者は、地球上の素晴らしい野生動物に関する知識と理解を深めるべく、エキサイティングで貴重な多くの研究プロジェクトに従事しています。 

また、ホッキョクグマの飼育施設では、種の魅力的な生態について、理解を深める機会を提供しています。現在進行中の多くのプロジェクトの中には、まだ解明されていない野生のホッキョクグマのソーシャルプレイ(社会遊び)の調査などを実施しています。ソーシャルプレイでのエネルギー消費量を把握するために体温変化を確認できる熱画像測定を利用しています。飼育下のホッキョクグマを非侵襲的な方法で検証することで、野生下のホッキョクグマの保全に役立つ研究プロジェクトに参画しています。